Linux日記: 2005年

RHELで作るファイルサーバ その1 (2005.11.5)

経緯

新しい職場でファイルサーバを作ることになりました。 現在のところ、ルータがDHCPサーバになって、各クライアントPC(Windows XP)はルータの下にスイッチングハブを介してつながっているだけなんで、最低限、

というあたりができれば機能的にはよさそうです。 会社の会計データとか顧客から受領したデータがあったりしますから、やはり社内といえども関係のあるユーザ以外には見せたくないものがありますから、やはりユーザごとにアクセス権を管理したいですし、当然バックアップもとれないと信頼性も確保できないし。

無論、Windows 2003 Serverでできることなんですが、Windowsでサーバを組むとユーザ数またはデバイス数分のライセンス(CAL)が必要になりますし、CALってサーバのOSをアップグレードするたびに改めて購入しないといけない。 今後LANの構成を変更してサーバにプロキシとかの機能も付加しようとしたときにも、商用アプリを購入してこないといけなくなりそうだけど、Linuxならプロキシサーバならsquid、WebサーバならApache、メールサーバならsendmailやpostfixなどディストリビューションに収録済で、実績や情報が豊富なものがいくらでもありますから。

まぁユーザ数は当面10名程度ですんで、実はCALの費用なんてそんなに気にするほどではありません。 それに、Windows ServerでもSmall Business ServerならRed Hat Enterprise Linux(RHEL)とOS自体の導入コストは実はあまり変わりません。 SBSにもいろいろ制限があるとはいえ、結局Linuxでサーバを組むことにしたのは最終的には個人の趣味です(なにせ検討するのも実際に構築するのも自分一人だし、実質的には決定権も自分にあるようなもので(^^;)

OSなしで適当に機材を組んで、debianとか、趣味で突っ走ってgentooあたりを入れて…ってのも考えましたがヤメました。 多少なりとも自分に土地勘があるのはやはりRed Hat系ですし、やはり会社で業務として使うからにはサポートがあるOSでないと名目が立ちづらい。 第一、今後サーバのメンテは私一人が業務の合間にやることになるわけなんで、趣味に走りすぎるのも考えモノですから、RHELでいくことにしました(といいつつ、RHEL互換のCent OSでもいいか、と思っていたりはする)


サーバの選定

サーバのハードはリースで調達することになるので、怪しげなショップブランドというわけにもいきませんし、DellHPあたりを中心に検討してみましたが、HP(むろん「ホームページ」の略ではなく、Compaqと合併したHewlett-Packardのことです)はBTOからRed Hat Enterprise Linuxを選択できるのはSCSIモデルだけ、やはりコストを考えるとSCSIで組むのは苦しいですし、Dellでいくことにしました。

バックアップ装置はLTO Ultrium...は高いのでDAT72(非圧縮36GB/圧縮時72GB)にして、APCの750VAのUPSも付けました。 どちらもLinuxに対応したソフトが付いてますが、バックアップソフトのYosemite Tapeware 7が動作保証しているのはRHEL 3までのため、OSはBTOメニューでRHEL 4が選べません。 まぁリース期間は3年間でいきますし、RHEL 3でもサポート期間は2010年までありますから、会社的にも問題はないでしょうしね。

実はクライアントをHPで先に調達していたこともあって、設立間もない零細企業だしリース審査とかもツライから既に信用枠のあるHPで検討しようかと思ってました。 それにAMDびいきの私としては、クライアントもSempron(といってもAthlon 64と同じSocket 939のOEM専用版みたいですね)にしたことだし、サーバもOpteronでいきたいけど、DellはIntelしか扱ってないし。 でも、DellからWebで見積もりとりつつ他社をいろいろと検討してたところにDellの営業担当から直接電話で連絡がかかってきて、結構お値段も勉強してくれたし、リースも大丈夫とのことなので面倒なんでDellにしてしまいました。 サーバ系だと営業担当の気合も違うのかな〜。 ウチの場合は先にクライアントをいれちゃってるし、その後の広がりは全然期待できませんのであしからず(^^;。


サーバの初期セットアップ

で、納品後のインストールの手順は…、省略。 個人的にもRed Hat系のインストールは何度もやったし、インストールに関する説明のページなんてどこにでもありますから。 それに、DellではRHELを選ぶとインストールがほとんど終了した状態で、後はrootパスワードやネットワークの設定等をするだけ、という状態で納品されますから、特にここで書くような作業はありませんでした。

まぁ、RHELがFedora CoreCent OSと違ったのは、当たり前ですがRed Hat Networkへの登録ぐらいですかね。 登録ページは英語ですが、日本語の解説ページもありますし、問題ないでしょう(RHELのCDにあるProduct IDが必要)。 Red Hatにアカウントが作られ、インストール済システムのハードウェアやパッケージの情報等が送られるので、サポートの際に役立てられたりするんでしょう。

そのほかの違いとしては、プロプライエタリなドライバやカーネルに同梱されてないものをうまく使うための仕組みとして、dkms (Dynamic Kernel Module Support)というのがあります。 ドライバのソースが/usr/src/の下にそれぞれあって、カーネルをアップグレードして再起動した際など、必要な際に自動的にドライバをコンパイル、インストールしてくれます。 ただし、SCSI系等でブート時に必須でinitrdに組み込む必要があるヤツだと、再起動の前に、

dkms build -m {ドライバ名} -v {ドライバのバージョン} -k {カーネルのバージョン}
dkms install -m {ドライバ名} -v {ドライバのバージョン} -k {カーネルのバージョン}

とかする必要はありそう。 ちなみに、起動時に自動インストールするか、とかinitrdに組み込むか等の設定は /usr/src/{ドライバ名}/dkms.conf で行います。

今回のサーバではaacraid、tg3、ata_piixあたりがdkmsで提供されてましたが、これらのモジュールはRHEL 3の最新カーネル(2.4.21-37.EL)だと既にカーネルパッケージに同梱されています。


ちなみに、DellではRHELを選ぶと向こうの基準でパーティションを/bootとか /home、/usr、/varなどを割り当て済の状態で納品されます。

で、セットアップをしこしこして、かなり後になってから気づいたんですけど、80GB x 3のハードディスクをRAID 5で動かしているというのに、マウントされているのはトータルで30GB程度しかない。

あれ?と思ったら、未割り当ての空き領域が120GBぐらいある…。 おいおい、と思って、Dellのペーパーを見てみると、

マウントポイントサイズ(MB)最大サイズ
/2048
/boot200
swapインストーラのデフォルト2GB
/usr409610GB
/tmp1024
/var204810GB
/home2500

確かに書いてあるルールどおりですね。 まぁ残りは自分で好きに切って使えということなんでしょう。 いきなりpartedとかで無理やり既存のパーティションサイズを変えなきゃならんのかと一瞬考えてしまいましたが、多分Linuxでプレインストールだとこういうのが普通なんでしょう。

というわけで、/sbin/fdisk で /dev/sda10に70GB弱、/dev/sda11に残りを割り当てました。 テープドライブが圧縮時でも72GBのDATなので、sambaの共有用エリアに残りの120GBを全部割り当てちゃうと面倒になりそうなので2つに分けてます。 mke2fs -j /dev/sda10 でext3パーティションを作成し、マウントポイントを作成、/etc/fstab も書き換えてOKですね。

本題のファイルサーバの構築に入る前に話が長くなってしまいましたので、次回に続く(多分)


Return to Previous page一つ前のページに戻る / Return to topこのページのTOPに戻る