PC上でのオーディオ関連情報、特にMIDIや今話題のMP3等について簡単にまとめてみました。 せっかく最近のPCにはサウンドカードがついているのに使わない手はありません。 ゲームの効果音を盛り上げ、好きなアーティストの音楽を流し、楽しもうではありませんか。
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)とは、シンセサイザーと電子楽器間のデータ転送方式の標準規格です。 これを利用してデジタルデータとして記録された演奏情報はMIDIシーケンスデータと呼ばれ、Windowsでは拡張子MIDのファイルがこれにあたります。
PCMで直接デジタル録音されたWAVEファイル(拡張子WAV)との違いは、次のようなものです。
このようにMIDIシーケンスは演奏情報であるために、WAVEファイルなどPCM音源と比べていくつかの美点があります。 また、MIDIシーケンスは演奏情報でしかないため、誰が聞いても製作者の意図した音がでるためには、楽器データなどの統一規格が必要です。 現在、世界的な規格としてはGM規格(General Midi)が代表的ですが、ほかにも、GMの拡張規格であるローランドのGS規格、ヤマハのXG規格などがあります。 いずれにせよ、MIDIシーケンスの再生音質は、再生する音源側に全面的に依存しています。
このようなMIDIを再生するための音源には様々なものがありますが、Windows/DOSの音源として一般的なクリエイティブ・ラボのSound Blasterでは、外部に専用のMIDI機器を接続するか、内蔵シンセサイザを利用することでMIDIシーケンスを再生することが出来ます(今どきサウンドカードを搭載していないPCもないでしょうが)。
MIDIを再生する音源としては以下のようなものが代表的です。
ここまで何度も書いてきたとおり、現在もっとも一般的な音源カードであるSound Blaster 16では、MIDIシーケンスを再生するための音源はFM音源しか持っていません。 それに対して、SB AWE32はFM音源に加えてWaveTable音源をもっているだけでなく、SoundFontと呼ばれる音源データの交換が可能なのです。
同じMIDIシーケンスが音源の違いでどれだけ変わるか、聞き比べられるように録音してみましたので、興味のある方は試してみてください。 サンプル曲は私の高尚な趣味を反映して、ベートーベン交響曲第5番「運命」の最初の部分を、8bit/11kHz/モノラルで録音してLHAで圧縮したWAVファイルです。 元のファイルサイズは同じ180KBなのですが、圧縮後のサイズは順に90KB〜140KB程度となり、音の成分が豊かになっていっていることがこんなところからも分かりますね。
FM音源 | SB16相当 |
AWE標準 | SB AWE32の標準状態 |
AWE /w 8MB SF | AWE32のメモリを増設し、E-mu社の8MB SoundFontを使った状態 |
AWE32+WaveSynth/WG | これはソフトMIDIなので録音できません(笑) |
MIDIシーケンスは確かにファイルサイズは小さいですが、単なる演奏情報なのでボーカルはなく、楽器の音しか(普通は)出ません。 一方、PCM録音されたWAVデータならボーカルだって入りますが、いわゆるCDクオリティ(16bit/44.1KHz/ステレオ)の音声を非圧縮で収録すると、1分間あたり約10MBぐらいになります。 普通の曲は5分弱ぐらい、つまり1曲あたり50MBになりますから、お気に入りのアーティストの曲を何曲もハードディスクに入れておくのはとてもムリでしょう。
そこでCDクオリティの音質を保ちつつ、如何にしてデータを圧縮するかということになるわけです。 MDもそうした流れから登場してきたものですが、リアルタイムにエンコード(音声データのデジタルコードへの変換)できるようにしているため、圧縮率はそう高くできません。 「エンコードに時間が多少かかってもいいから、音質が良くて圧縮率も高い方式はないのか?」 あります。それがMP3です。 MP3とはISOのワーキンググループであるMPEGの制定した音声情報圧縮の国際規格で、正式にはMPEG Audio Layer-3です。 VIDEO-CD等、動画の圧縮形式として有名なMPEG-1の音声部分のみのデータと考えていいでしょう。
MPEG Audioの規格では、圧縮比の違いによってさらに1から3まで分類(Layer)されていますが、Layer1ではCDクオリティを保ちつつ1/4程度まで圧縮でき、Layer2では1/6〜1/8、Layer3では1/10程度まで圧縮できます。 どうしてこんなに効率よく圧縮できるのかというと、「人には聴き取ることのできない音を消す」という不可逆圧縮を用いているからです。 ここまで圧縮するとCDクオリティをほとんど損なうことなく、インターネット上でのリアルタイム再生も(128kbpsであれば理論的には)可能となるのです。
無論、収録したMP3ファイルをインターネット上で無断配布したりすると著作権に触れる恐れがあります。 自分の持っているCDから録音して自分のオリジナルベストを作るとか、ノートパソコンに入れて出先で音楽を楽しむとか、個人で楽しむ範囲にとどめておきましょう。 最近では「mpman」等、パソコンを使わずにMDプレイヤーのごとく携帯して音楽を楽しめる機械も登場してきました。 MP3の今後が楽しみですね。
MP3は現在のところWindows本体ではサポートされていません。 IE4.0xにコーデックが添付されたり、IE5.0に付属のメディアプレイヤー5がMP3の再生をサポートしたりしているので、将来的にはもっと一般的なものとなる可能性もありますが。
MP3を利用するには以下のプロセスを経なくてはなりませんが、それぞれ専用ソフトが必要です。
代表的なソフトをいくつか紹介してみます。
基本的にはシェアウェアが多いですが、フリーウェアでも何とかMP3の作成、再生が可能です。
「mpeg Encorder」はCD-DAをWAVに落とす数少ないフリーウェアですが、遅いです(^^;。
MP3のエンコードについてはフリーウェアもありますが、外部プログラムやCODECを必要とするものが多く(こっちは無料と限らない...)、フリーウェア単体で可能なのは「SCMPX」ですか。
MP3の再生についてはフリーウェアもいくつかあります。
ただし、シェアウェアにはシェアウェアの良さもあり、有名な「WinAmp」等はユーザも多いのでプラグインや対応ユーティリティもたくさん出回っています。
MP3は曲名、歌手、著作権情報などをタグとして付加することができ、再生ソフトはこれらの情報を表示する機能を備えています。
「SCMPX」はこれを編集することもできる多芸多才のソフトでお気に入りです。
WAV録音 | MP3変換 | MP3再生 | Tag編集 | ||
---|---|---|---|---|---|
CD2WAV | S | ○ | − | − | − |
CDCOPY | S | ○ | △ | − | − |
Audiograbber | S/(F) | ○ | △ | − | − |
Unreal Encorder | S | ○ | ○ | − | − |
mpeg Encorder | F | △ | − | − | − |
WinAmp | S | − | − | ○ | − |
Unreal Player | S | − | − | ○ | − |
NAD | F | − | − | ○ | − |
SCMPX | F | − | ○ | ○ | ○ |
アキハバラMP組 | F | − | − | − | ○ |