初級クロックアップ

さて、クロックアップの基礎知識では、クロックアップとは「CPUに与える周波数を変更する」または「CPUが与えられたクロックを増やす倍率を変更する」ことにより、「CPUの動作クロックを向上させる」ことであると述べました。

こんなことができれば、まったくお金をかけずにわずかなりともパフォーマンスアップが図れるわけで、こんなおいしい話はありません。 ではどうすれば、こんなことができるのか?というと、通常はマザーボードにジャンパスイッチがあり、設定の変更が可能になっています。 あるパソコンメーカーが「Pentium 233MHz」「Pentium 200MHz」搭載の製品を作っているとしましょう。 その中に入っているマザーボードは同じ物を使った方がコストが安くつくのは自明のことですね(車だって異なる車種で同じシャーシを使ったりするでしょ?)。 いろいろな速度のCPUが搭載できるように、切り替え可能になっているのです。

ジャンパ設定はマザーボードのマニュアルをみるか、実際にマザーボードを注意深く観察すればわかると思います。 (ただし、古いマザーボードや一部のメーカー製パソコンではこのようなジャンパがない、または高クロック設定ができないものもあります)

大まかにいって3つのタイプがあります。私はジャンパで別々に設定する方が好きですが、わかりやすいのは自動設定タイプでしょうね。


大抵のCPUはマージンをもって設定されているので、1ランク程度はクロックアップしても問題無く動作することが多いです(元が120MHzのものを150MHzまたは133MHzにできる)。 とはいえ当然のことながら、際限なくクロックを上げられるわけではありません。 Pentium120MHzとして動作保証されたCPUは133MHzで動作する可能性は高いですが、200MHzで正常に動く見込みはほとんどないでしょう(CPUに「当たり外れ」があるというのは、このあたりの動作する/しないの運の話です)。

あまり無理に設定を上げると正常に動作しなくなりますし、もし動いたとしてもPentium Classic(P54C)では200MHz(66MHz×3)、MMX Pentiumでも233MHz(66MHz×3.5)以上のクロックは、実際には存在しないので、マザーボードに設定がありません。したがって、ジャンパ設定だけではこれ以上のクロックアップは不可能なのです(オイシイ話にはウラがあります)。 「もっと高速化したい」というスピード狂の方は後で紹介するような特殊なマザーボードを用いるか、マザーボード自体を改造するというハイテクニックが必要になります。

余談ですが、CPUにリミッターがかかっていて大幅なクロックアップはできないようになっているというウワサがたびたびでます。 かつてPentium133MHzは2.5倍速設定ができなくなっていて、150MHz、166MHzに設定できなくなっていたこともありました。 確かに低速のために安くなった旧型CPUが、最新のもの以上に高速になってはメーカーはたまりませんよね。 とはいえ資金に限りがある貧乏ユーザー(私?)としては少しでも金をかけずに高速化を図りたいと思うのは人情ですし、難しいところです。


☆外部クロックについて

あなたのPCがもともと外部50MHzや60MHzに設定されているのであれば、クロックアップする場合、倍率をあげるよりも外部クロックを引き上げる方がパフォーマンス的に有利です(66MHzである場合も可能であれば75MHzや83MHzにすべきです)。 というのも、外部クロックを上げることにより、同じクロックでもCPU以外の部分の動作速度を上げることができるからです(例:66x2.5=166MHzと83x2=166MHz)。

TOM'S HARDWARE GUIDEの調査によれば、倍率を1.5から2倍に変更することによりパフォーマンスは18%アップします。 しかし、x2からx2.5にしても8.1%しか向上しません。 さらにx2.5からx3にしたときの増加幅は6.7%以下です。 何故、表面上のクロックの差に比べて、パフォーマンスの向上率が落ちていくのか? つまりCPUだけが速くなっても、メモリなど外部の速度が上がらなければパフォーマンスアップにつながらないということです。

倍率変更測定結果クロック比
x1.5からx2(P100→P133)18%33%
x2からx2.5(P133→P166)8.1%25%
x2.5からx3(P166→P200)6.7%20%

PCの各部について、そのパフォーマンスを決定付ける要因をあげてみます。

  1. CPU - 外部クロック×倍率=内部クロック
  2. 2次キャッシュ - キャッシュのタイプ(PB, 非同期 etc.)や大きさ、外部クロック
  3. メインメモリ - メモリのタイプ(FPM, EDO, SDRAM etc.)や大きさ、アクセスタイミング、外部クロック
  4. ビデオカード - ビデオカードの種類、外部クロック
  5. ハードディスク - ハードディスクの種類、外部クロック

CPU自体の速度には外部クロックはまったく無関係です。 しかし、2次キャッシュやメインメモリについては、同じ大きさ・種類であれば外部クロックが高い方が絶対有利です(ただし、これはPentium、K6などSocket7での話です。2次キャッシュを内蔵したPentium Pro、2次キャッシュをカートリッジに入れて専用バスでCPUと繋いでいるPentiumIIでは2次キャッシュについては外部クロックは関係ありません)。

ビデオカードやハードディスクについてはなんともいえません。 外部クロックが高い方が、バスの転送速度は増します。 しかし、ビデオカードやSCSIカードなどは独自にクリスタルを持っている場合があります。 この場合、PCIバスの速度が予想外のものである場合、正常に動作しなくなる場合があります。


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