「物欲の記」:2012年


GMA500、ついに覚醒? (2012.2.11)

Atomが登場し、安価なネットブックが急速に広まった3、4年前、私も工人舎のSC3を購入してみたりしました。 メモリを2GBに増設したり、OSをWindows 7に入れ替えたりはしましたが、基本的にはそのまま使ってきました。

もともと性能面に期待なんてしてませんし、ノートPCだからCPUやらビデオカードを交換するって訳にはいかないですしね。 世の中には、分解して内蔵のHDDをSSDに入れ替えてしまう人なんかもいたようですが、1.8インチでZIFコネクタのSSDなんて主流じゃないから高いし、そもそもインターフェースがSATAじゃないから速度の向上もあまり望めないだろうなぁと思って放置してきた訳です。

ちなみにSC3のチップセットはIntel US15W、グラフィック機能はUS15W内蔵のGMA500で、PowerVR系らしいですね。 性能はともかく機能的にはDirectX 10.1の要件を満たしている、と言われていました(笑)

いや都市伝説かってぐらい、いつまで経ってもIntelのドライバはOpenGLもろくに動作しない代物のまま放置されてましたからね。 最後に更新されたのは2010年10月の5.0.0.2030ですが、それまでも基本的にはバグ潰しが多少されただけで何も変わってなかったんじゃないかな。 確かに、Intelのハードの開発力のスゴさと、一方でソフトのダメダメさは定評のあるところなんですがね(^^;; Windows 7のAeroは透明効果を切ればギリギリ使用に耐えますが、OpenGLのこの絶望的な状況と言ったら…。

ネットにXP用のOpenGL boost Driverなんて落ちてたり、組込用のXP用ドライバでは改善が進んでいるらしく、Intelはまだ開発を止めてはいないらしいなんてウワサを聞いたりもしましたが、結局この状況は改善されないままでした。 そう、昨日まではね(^^)


IntelのWebサイトに、エンベデッド・メディア・グラフィックス・ドライバー (EMGD) 1.10とやらがあるのを発見しました。 これはふだん私たちがメーカーからダウンロードして使っているドライバ等とはちょっと趣が異なっていて、メーカーが(AtomやUS15Wシリーズのチップセットを組み込んでいる)自社製品用のデバイスドライバを作成するための開発キット、といったものです。

細かいことは置いておいて、さっそくインストールして、新しいConfigurationを作り、その設定を使ったWindows 7用の新しいPackageを作ってみます。 あ、試してみようなんて人はいないと思いますが、万一の為に必ず事前にバックアップをとっておく、システムの保護で復元ポイントを作っておくといった準備をしておくことをお勧めします

あとはGenerate Installationを実行すると、IEMGDをインストールしたフォルダの workspace\installation\(〜)_pkg_installation にzipファイルが作られます。 これが世の中に出回っているような普通のドライバのセットなので、解凍してsetup.exeを実行します。

多少の警告は出ますが、気にせず進むと(オイw)

こうなりました。 とりあえず、少しだけテストしてみた分には、特に大きな問題は起きていないようです(2/18 追記。Windowsの輝度コントロールが効かなくなってる?)。 というか、普通にWindowsを使ってるだけでももっさり感が少しまともになった気も? Windows 7のエクスペリエンス・インデックスも3Dを含む「ゲーム用グラフィックス」が2.5→3.5に上がっただけじゃなく、Aeroパフォーマンスの「グラフィックス」も2.9→4.5に上がってますし、気だけじゃないのかも。

もちろん、とうとう本来備わっていた能力が覚醒したといっても、性能的にはどっちにしても大したものじゃないんですけどね(^^;;

Intelもここまでできてるなら、普通に配布しているドライバパッケージも更新してくれればいいのにねぇ。 もしかしたら、そのうちちゃんと更新してくれるかもしれませんし、普通の人は待つんでしょうけど、私は(まったくIntelを信じられないので)このまま使ってみることにします。


SSD導入 (2012.1.28)

前々からちょっと気になっていたSSDを導入してみました。

SSDというのは、スんゴく素敵なデッカい…
ではなく、Solid State Driveの略で、固い円盤に磁気で情報を読み書きするHDD(Hard Disk Drive)とは異なり、半導体に情報を記録するドライブです。 最近目覚ましく進歩し、メーカー製のノートPCに導入されてることも結構ありますし、一般的なものになってきたのは、記録媒体にフラッシュメモリを使ったSSDです。 電源を切ってもデータが保持できるので、ハードディスクと同じように使うことができます。

HDDは年々記録密度が向上し、大容量で早いドライブが登場してきます。 ですが、スピードの方はといえば、連続したシーケンシャルなデータを読み書きする速度は向上しても、ディスク上のあちこちにあるデータをランダムにアクセスする速度はほとんど変わっていません。 構造上、磁気を読み取るヘッドをあちこち動かさなくてはならないのでランダムアクセスは高速化が難しいわけです。

一方、SSDはフラッシュメモリに記録するので、円盤を回転させたり、磁気を読み取るヘッドを動かしたりする必要がないため高速、特にHDDが苦手とするランダムアクセスでは非常に大きな差があります。 静音性が高く、動作中に落としたりしても壊れにくいといった点もメリットです。 その反面、ハードディスクに比べて値段が高価で、データの書き換え可能回数に上限があるといったデメリットもあります。


前置きが長くなりましたが、そんな訳で今回購入したのは、Crucial m4 CT128M4SSD2、128GBのSSDです。 公称スペックはRead 415MB/s、Write 175MB/sと、HDDでは複数ドライブでRAIDでもしないと到底出ない速度ですね。 ちなみに、SSDでは複数のメモリを内蔵して同時アクセスすることで速度を稼いでいますので、同じ型番の製品でも容量が大きい方が高速になります。 公称スペックではReadは全部415MB/sですが、Writeは260MB/s(512GB、256GB)、175MB/s(128GB)、95MB/s(64GB)となってます。

Crucialのサイトから最新ファームウェアを入手して適用するとさらに早くなるようです。 というか、最新のファームウェア0309(2012/1/13)で使用時間が5000時間を超えるとドライブが認識されなくなるという致命的な不具合が修正されたらしいのでアップデート必須ですね。 私が購入した店ではファーム0309に更新してくれていたので手間が省けました。


SSDはハードディスクとより容量が小さく、その性格上、頻繁に書き込みをする用途には向かないので、OSやアプリを入れるシステムドライブとして使うのが良いようです。 私はもともとシステムとデータでHDDのパーティションを分けて使っており、しかもなぜかシステムに120GB程度を割り当てていたので、パーティションをコピーするだけでそのままイケそうです。 ドライブやパーティションの引越しをするソフトは色々あるし、無料で使えるものも結構あるので、好きなのを使えばいいでしょう。 私はたまたまインストール済だったEASEUS Partition Master Homeを使いました。 よく調べないで適当にやったら、コピー後にリブートしてもOSが立ち上がらず、WindowsのDVDで修復する羽目になったのは秘密です(笑)

しかし、パソコンの立ち上げがめちゃくちゃ早くなりました。 元々あまり高速でないHDDを使ってたとはいえ、BIOSのPOST完了からWindowsのユーザー選択画面が出るまで40秒かかっていたところが14秒! ブラウザを立ち上げてサイトを見に行ったりしてるだけで、いろんな動作がキビキビしたのが実感できます。 まあ、人間は快適なことに慣れるのは早いですから、すぐに感じなくなるでしょうけどw

試しにベンチマークを取ってみたら、なんだか世間の相場よりランダム書き込みが遅いみたい? ちょっと検索してみたら、パーティションのアライメントがズレていると発生する現象らしい。 msinfo32.exeで確認してみると パーティション開始オフセット 32,256バイト、確かに4096で割り切れない…。 EASEUS ToDo Backupではリカバリの際に「Optimize for SSD」オプションがあるそうだし、対応したソフトをきちんと使えば良かったのかもしれないですね(^^;;

HDDのシステムパーティションも消してはいないので、対応ソフトでリカバリし直す、パーティションを切るところからやり直す、いくらでも選択肢はあったのですが、お金をかけず、データを消さずにアライメントを調整できる、SSDを最高のパフォーマンスで利用するためにパーティションを調整しようの方法でやりました。 Ubuntu 11.10だとGPartedの画面がちょっとLifehackersのと違って「Round to Cylinders」のチェックがありませんが、元々MB単位の位置合わせになっているのでそのまま前方の空き領域を変更すれば大丈夫です。

調整が終わり、ベンチを取り直してみたらこんな感じ。問題のランダム書き込みは5倍から10倍と大幅に向上しました。 体感はできませんが、シーケンシャルの読み書きも結構上がってますね。

(修正前)
(修正後)

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